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作物の生産から食卓へ。つくる事は「人の手」を繋ぐリレー。種を撒き、育て、収穫する。そして、調理する。「人の手」が繋いだものが形を変えていく事。

高千穂釜炒り茶のススメ@宮崎県高千穂地域

考えてみれば、僕が「高千穂」に行き初めてからもう8年になります。
ここは「天孫降臨の地」有名な観光地でもあり、大小様々な神社が集中する伝承の地。
コロナ以前は多くの外国人で賑わっておりました。
2021年8月現在、とても静か・・・
地域全体が本来の思慮深い佇まい放っております。

高千穂釜炒り茶。
高千穂のお茶は、日本の緑茶の中でもたった2%程度の希少な釜炒り製法の茶産地です。
クルリン!と曲がった形状が特徴。

日本茶の起源については、諸説ありますので割愛しますが、
鎌倉初期(1191年)に栄西(えいさい)禅師が宋から帰国する際、日本にお茶を持ち帰りました。(これは最も一般的)
その頃の出島だった長崎県平戸市に着岸し、そこで茶の実を植えて、茶園を作っています。
緑茶の製法、オーセンティックな方法がこの釜炒り茶で、高千穂の生産者達は太古から続くこの製法で今でもお茶を作り続けているという事です。

高千穂は、九州島の中で最初に陸地になったと言われています。
標高700mのお茶。
日本の茶産地の中ではかなり高い方です。

向こうに見える山は「阿蘇」この景色を毎日見ながら茶作りに励んでらっしゃる。

急峻な山々に囲まれた暮らし・・・
今の様に道路も無い頃は大変だったろう・・・と思うのは、もしかしたら現代人の勝手な思い込みかもしれません。
何が便利で何が不便か、基準が今とは違うだろうし。。
ここには、飲んで安全な美味しい水はいくらでもあるし、山の恵みと里の恵みの両方で、今で言う「豊かな暮らし」だったのかもしれません。
山間地の暮らしは知恵の塊みたいな感じですもんね。
昔の人は何でも自分で作り、何でも自ら行った。
「個々のスキル」ヤバいぐらい高い。
今ではすっかり分業制。
個別に完結せず、多くの暮らしがチームで動く。
それが良い事なのかどうなのかわかりませんが、おそらくその時々の、今を、目の前を、懸命に、生きていた様に思います。
今を、目の前を、懸命に、は、昔も今も変わりませんね。

山肌一面の茶畑が広がります。山の壮大さ・・圧倒されるスケール・・・

これ、宮崎茶房さんの畑。最初にこの地域の生産者をご紹介頂いたのが、宮崎茶房の宮崎あきらさんでした。
この写真、8年前。
今をご存知の方、ちょっと若い気がするでしょ?
でも宮崎さん、おそらくあまり変わってない方だと思います。

その頃、見せたもらったお茶。
今は更に多くの品種に磨きをかけていますね。

写真を整理していて気づいたのですが、これ”白茶”ですよ・・・
当時から作っていたのですね。

宮崎茶房さんは、日本茶業界の中でもかなり前から有機JAS認証を取得されています。
僕は知人にご紹介頂く前から意識せずにここのお茶、頂いていたことを後から気づきました。
紅茶が最初でした。その当時、国産紅茶は珍しくて。
興味深く購入したのですが、飲んでみた第一印象は「優しい味」。
紅茶のタンニンに僕は弱くて・・・
お子様の様に、甘くしたミルクティーなら飲めるけど、ストレートは苦手。
でも宮崎さんの紅茶はタンニンが少ないのでお気に入り。
もしかするとそういう方は多いのかもしれません。

今、国内で発酵茶などの新しいお茶作りを牽引してらっしゃる宮崎茶房さん。
ここのお茶は、日本各地の多くの加工品原料などにもなっています。

それと、
あきらさんには、かなりパワフルなお母さまが・・
“れい子さん”と宮崎茶房の若いスタッフから親しみを込めて呼ばれております。
宮崎茶房のグランマ。
バーバークラブという地域加工所を運営されています。
宮崎茶房さんのお茶うけにピッタリな「かりんとう」や「摘み草せんべえ」を作っています。
もちろん、茶時期にはまだ製茶も。大忙しですね。
元気の源は黙々と働くことかもしれません。
僕もいくつになっても働いていたいと思います。働くこと、好き。

れい子さん。かりんとうを作っています。
加工所のスタッフの方は地域のおばちゃん達。丁寧に一つ一つ手作り。みんなで楽しく活き活きと!
素朴な味のお菓子。ずっと食べ続けられるものってこういう味かもしれませんね。

地域をどのように活かし、そこで生業を続けるか・・・
日本各地、どの地域でも同じ課題。
メディア戦略ってかなり大事。”それだけ”と言ってもいいぐらい。
少しおかしな世の中だなって思う時も・・・

今や情報が溢れており、目的を持った発信ができる担当はどんな業種にも必要かと・・・
また、ものづくりの方々は、”当たり前”を発信する癖付けも。

この”発信の部分”もちろん当社にも必要。
動きつつ、いつも頭の片隅ではそれを考えている感じ。

高千穂の茶産地、宮崎茶房さんを筆頭に実力者が目白押し。
多くの方々の応援があって今があるのでしょうけど、
この地域には、生産者自身の明確な意志があるようにみえます。

釜炒り茶の色は、緑というよりは黄色に近い緑色です。
それが釜炒り本来のお茶の色。
でも、日本国内の有名な団体が作った緑茶の基準では、この色が評価されません。
黄色い(緑色じゃない)と。
せっかく作ったものが市場では価格が低い為、国内のほとんどの釜炒り茶の産地が、釜炒りを辞め、玉緑茶や煎茶に変えた歴史があります。
でも九州島の中央に当たる標高の高いこの産地だけは、釜炒り製法を変えなかった。
その判断と覚悟です。明確な意志。

生産者自身が「釜炒りが美味しい」と心底思っていた。
なるほどそれは理にかなっており、標高が高く、雪が降るこの産地は、寒暖差のせいで茶葉の芳香が強い。
その為、釜炒り茶製法が適している。
この地域の環境特性を最大限活かす製法が釜炒りではないか・・・
しかもここは国内最先端の発酵茶の産地で、その発酵茶を作るにも釜炒り製法が適切である。

ここには、マイナスをプラスにする力がある。
今でも謙虚に研究に励み、更にクオリティーの高い茶作りを目指しています。

いつ行っても変わらない姿勢は、こちらの気持ちも引き締まる。
ありがたい事です。
この様な生産者に出会うと、日本の生産には未来があると思えてなりません。
生産、拡散、販売、研究などそれぞれが”自分のパート”を最大限やり続ける事が大切ですね。

高千穂釜炒り茶。
もし飲んだことがない方がおられましたら、一度お試し下さい。
煎茶とも玉緑茶とも違う香りがあります。
釜炒り茶は、お米に最もよく合うお茶。
シンプルに漬物と一緒に、
お茶漬けで、サラサラっと食べてみて下さい。

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