作物の生産から食卓へ。つくる事は「人の手」を繋ぐリレー。種を撒き、育て、収穫する。そして、調理する。「人の手」が繋いだものが形を変えていく事。
10月中旬、九州伝統野菜弾丸ツアーの際、お邪魔した熊本。
関東にいると、九州の食材と言えば熊本産、次は宮崎産がよく聞こえてきます。
九州7県、それぞれに特徴ある農産物(生産物)が多くあるのですが、流通やPRが上手い所が印象に残る。
その印象はそれに値する技術があっての事だと今回の熊本でしみじみ感じました。
以前、Dean&Delucaさんの「南九州フェア」にも登場したご当地野菜「水前寺菜」の生産地を訪れました。
コレ!(沖縄では「はんだま」金沢では「金時草」と呼ばれています)
加温なしの雨除けハウスの中で育ってます。
葉っぱの裏が綺麗な赤紫色。
インドネシア原産の多年草。一株で3年ぐらい収穫する。
伸びた茎を切って収穫します。
ちょっと怖い!と言われてしまったこの野菜。
実は熊本県が誇る伝統野菜。とても美味しいのです。
独特の軽い香り、茹でるとぬめりがあります。
葉の裏側の赤紫色は、ポリフェノールの一種、アントシアニン。
γ-アミノ酪酸(GABA)も多く含まれており、これによっても血圧上昇を抑える効果がある事が分かっているそうです。
最近、外食が多いせいか、血圧が高くなりつつあります。
やたらと水前寺菜が食べたくなるのはそのせいか・・・
水前寺菜
美しい紫の葉裏を持つことから茶席の花として愛され、先人たちにより守られてきました。
守り継がれた紫には、厳しい環境を耐え抜く現代人を生き生きと。
また、女性を美しくする効果があります。
女性を美しくする「スーパー美肌野菜」
その訳はたぶんコレ!
ビタミンAが春菊の3倍、ビタミンCもレモンより多いなど栄養価の高い野菜です。
特に老化原因となる活性酸素の除去や、抗がん効果があるポリフェノール(クロロゲン酸)がホウレンソウやキャベツの約50倍含まれ、血圧降下などの作用があるカリウムイオンも豊富です。
ね?食べたくなったでしょう?
怖がらずに食べてね。美味しかよー!
3年たって収穫が終わった株はこんな感じ。
でっかい!一株で50cm以上。
茎を切って出荷している様子がわかりますね。
土壌を肥料で整えて、次は一年生の苗を定植します。
葉物だから窒素を多く欲しがるのだね。
サントリ―九州熊本工場がある御船町(みふね)は水がとても良い地域。
ま、熊本はどこで飲んでも本当に水が美味しい。
阿蘇山の伏流水が蛇口をひねれば出てきます。
御船町では町を挙げて水前寺菜栽培に力を入れています。
今回お邪魔した生産者の山下さんは地元ならではの利用法で健康維持を。
それがコレ!水前寺菜ドリンク。
葉っぱの色が綺麗に出ていますね。
固い茎も、丸ごとゆっくりとお湯で煮出すらしい。
味は付けずにそのまま、焼酎などで割って飲むそうです。
1週間も続けて飲むと血圧がみるみる下がるとおっしゃってました。
しかし、綺麗かー!
でもやっぱりこっちの方が美味しい!
おひたし。山下さんの奥さんが少し甘めのポン酢で味つけ、すりごまをたっぷりかけて下さいました。
先日の横浜発酵研究会でも参加者に召し上がって頂き好評でした。
水前寺菜は年間収穫できます。
おひたしをたくさん作って冷蔵庫に入れておこうかな。と思うぐらい旨い菜っぱだと思います。
そのほかに熊本の伝統野菜と言えば
ビックリなBIGサイズのかぼちゃ、「春日ぼうぶら」
実が若干柔らかいけど、香りが良い美味しいかぼちゃ。
もういっちょ、こちらはご存知の方が多いのでは?「肥後赤ナス」
肥後赤ナスは灰汁少なく、実のキメが細かい。
生でOKと言いますが、やはり生よりは火を通した方が断然旨い!
豊かな熊本の野菜達に囲まれ幸せ!
御船町の高品質水前寺菜は「御船川」というブランド名で販売しています。
普通に「水前寺菜」とした方が印象に残るし、わかりやすいと思うのですが。
「御船」を「みふね」と読める方は熊本人だけでは?
御船町を後に、次は熊本が誇る絶品豆腐「内田安喜商店」
先日のコープ商品開発セミナーに、九州から一人参加された後藤さん。
とても真っ直ぐに「食」を見つめていて。
すぐに意気投合!
聞けばグリーンコープさんにも納めているそう。
福岡時代よく頂いていたお豆腐は後藤さんの豆腐でした。
熊本の大豆にこだわり、熊本の水で、添加物は使わずに高い技術で白い宝石を作り上げる。
豆腐は日配品。作ってから1時間ぐらいが最も美味しいらしい。
それほど繊細な豆腐を溢れるほどの愛情で作り上げる。
大豆を石臼で挽いて作るこだわり抜いた逸品「おぼろ豆腐」
綺麗に整った工場も拝見し、この豆腐にかける情熱も滋味深い味わいも堪能致しました。ありがとうございます。
そしてもう一つ。
こちらもすごい加工品。「こんにゃく」
大正六年創業「鳥丸八十七商店」
長い歴史を感じさせるスバラシイ店舗。鳥丸家は元は鹿児島。
アウェイの熊本で商売する際、身元を立証するお墨付きが西郷隆盛の書状。
そんな伝統ある蒟蒻。ひたすら、なめらかで喉越し良し。
機械化と伝統が上手く融合されていて、清潔な工場には旨い物を作る気品がありました。
蒟蒻ほど味に差がある加工品はないかもしれません。
蒟蒻は触感=味なのかな。日本食はこの名脇役なしではあり得ません。
この蒟蒻、吉野家のとん汁に使われているそう。
ちょっと意外!今度じっくり食べてみよう。
豆腐が「白い宝石」なら、蒟蒻は「黒い宝石」かもしれません。
鳥丸社長、ありがとうございました。
水前寺菜も、内田安喜商店のお豆腐も、鳥丸八十七商店の蒟蒻も全て「水」がキーワード。
阿蘇の噴火活動によるカルデラ地層が自然のフィルターとなり、清冽な地下水あふれる熊本。
熊本産が旨い理由は、この「水」と、水が育てた「人」なのですね。
皆様、本当にありがとうございます。
「くまモン」というネーミングには「くまもとの人」という意味もあるそう!
どうりで人気な訳ですね。
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