作物の生産から食卓へ。つくる事は「人の手」を繋ぐリレー。種を撒き、育て、収穫する。そして、調理する。「人の手」が繋いだものが形を変えていく事。
まだ日差しが強い9月。
宮崎県「五ヶ瀬町」標高600mの「宮崎茶房」さんの茶畑に伺いました。
九州島が出現した時、最初の陸地がここ五ヶ瀬町だったそうです。
向こうに見えるのは阿蘇。素晴らしい地域。
漂う空気の美味しさは身体の細胞全てが綺麗になる感じ。
宮崎さんは和紅茶の業界では知らない人はいないほど有名人。
早くから有機JAS認証のお茶作りに取り組まれ、緑茶~紅茶まで、他にも幅広い茶葉を生産されています。
宮崎県は九州の中ではお茶の品種登録が一番多い県です。
ですので、飲み比べをするとこんなキワモノがずらりと出てきて感激!
みなみさやか、やまなみ、みねかおり、たかちほ、べにふうき、こうしゅんなどなど。
飲み比べるとわかる。
品種と製造方法で全く違う飲み物に。
同じ品種でも年数や製法で驚きの味の違い!
紅茶は発酵茶ですので、微生物の微妙な変化で種類が豊富にできる魅惑の飲み物。
シビレル経験でした。
有名人なのに偉ぶった所は微塵もなく、優しい人柄でスタッフと良い関係を築いています。
宮崎さんの会社には関東から移住したスタッフが働いていて・・・
千葉県から移住し、町内の方と結婚された女性は今妊娠8か月!
過疎化した町内には産科がなく、出産時は2時間かけて山を下り延岡市内に行かなくてはならず。
地域再生。
若者が移住する先には古くなった環境を再度見直す事も必要ですね。
ここで一緒に働きたいと日本中から人が集まる宮崎茶房。
訪れてみて、五ヶ瀬の世界観や地域の方の眼差しの優しさでその理由が分かりました。
今は息子の亮さんにお茶生産の方は任せて、お母様の麗子さんは「バーバクラブ」という馬場地区の特産品加工場で地域の食材を使った加工品製造をされていて・・・
こんなかわいいおばあちゃまがゆっくりと丁寧に草花せんべいを作ってます。
地粉に三温糖と卵を混ぜてせんべい生地を作り、そこに野山で摘んできた食用の葉っぱを乗せ、高圧プレスでおせんべいに。
焼けたかいな~?どれどれ。
ゆっくりとした清らかな地域で、時間と共に流れるように無駄のない作業は静かに進んでいて。
こんなにたくさん焼けました!
「たべもの」は人の手があってのこと。
効率重視、人が介入しない「たべもの」作りで、どこか歯車が狂っている現代ですが、まだまだ地域には本物の「食」が残っています。
よそ者をどれだけ受け入れ、丸ごと若返っていけるか?が今後の地域が残る道。
個人だけでなく地域の事を、生産の事を、未来の農業の事を、考える幅を広げてくれる五ヶ瀬には水俣に通じる深さがありました。
宮崎さん、ありがとうございました。
そしてもう一ヵ所。
山口県の美祢市にある「さんまいん」という菌床椎茸の生産です。
ここはコンテナを使った椎茸栽培にチャレンジ。
http://sunmine.co.jp/shop/
農学研究家である坂本社長が選んだ肉厚ジューシーな菌種。
使わなくなったコンテナで栽培する為、初期投資を抑えられるのが魅力!
椎茸は原木か菌床か好みが分かれますが、食べ方による!と思います。
しっかりと椎茸の出汁の香りを引き出したい時は原木を。
椎茸の香りが苦手だったり、たくさんのきのこの中の一部として食べたい方は菌床を。
こんなに可愛い椎茸たち。美しささえ感じます。
菌床栽培は消費の具合を見ながら生産調整ができるので、安定した出荷ができます。
坂本社長は椎茸が出なくなった廃菌床を堆肥化。
その堆肥を畑に入れ、ジャンボにんにく栽培も。
直売所で売れ残った椎茸は自家製の無添加加工品に。
ピカピカ光ってるでしょう?
スタッフの方がその日の気温などを見て、味を調整し、煮込む時間を決めていました。
美祢市の人口も近年減る一方で、地域活性化の一環として椎茸栽培にチャレンジしている坂本社長。スタッフを集める事さえ大変ですが、共に進める新しい取り組みを全力で進めてらっしゃいます。
坂本社長、ありがとうございました。
今年のフードアクションアワードにこのさんまいんの「ぱらっとさん」という椎茸の軸を利用したおいしいふりかけが入賞しました。
地域活性化とは、一企業だけが考える事ではなく、行政も含め、みんなで今後の姿を考えていかなければなりません。
どこも同じ問題を抱えていますが、まずは地域のスケールを選ぶことは必要。
どんな地域にするか?
その地域のスケールを決めると投入する予算の振り方にもブレがありません。
同時多発的に出てくる案件に対しても対応する余力を残しながら求心力のある企業をどれだけ応援できるか?
魅力的で求心力がある会社も地域の応援ありきだけではダメ。
応援無しでも健全な姿で立っていられる様にすると、共に全てが上手く廻っていき・・・・
私も同じ。
いろんな会社と、いろんな方と共にどれだけ健全に立っていられるか。
生涯を通じて志を高く「生産と消費を繋げる事」に邁進したいと思います。
生産・販売・プロモーションなど、
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